腕時計の「オーバーホール」とは、ムーブメントを細部まで分解し、洗浄・注油・再組み立て・検査を行う大規模な分解清掃のことです。見た目には正常でも内部では摩耗や油切れが進んでおり、放置すれば高額な修理や寿命の短縮につながります。
そこで本記事では、オーバーホールを「もったいない」と感じる人に向けて、そのメリットや放置するリスク、実施のタイミングなどを解説します。
時計のオーバーホールはもったいないのか?
「オーバーホールは本当に必要なの?」と疑問に思う方は少なくありません。確かに一度の費用は安くはありませんが、時計を長く正確に使い続けるためには欠かせない作業です。
ここでは、特に注意すべき機械式時計におけるオーバーホールの重要性や費用相場などを解説します。
機械式時計はオーバーホールが重要
機械式時計は、内部に数百もの細かい部品が組み合わさって動いています。潤滑油は年数が経つと劣化・乾燥し、摩擦が増えることで部品の摩耗や破損につながるため注意が必要です。
3〜5年ごとのオーバーホールが推奨されており、定期的に行うことで精度と寿命を守ることができます。
オーバーホールの費用相場
オーバーホールの費用は時計の種類や複雑さによって変わります。クォーツ式なら2〜4万円程度、シンプルな機械式なら4〜7万円前後、クロノグラフなど複雑なモデルは5〜10万円以上が一般的です。特殊なコンプリケーションモデルでは10万円を超えることも珍しくありません。
決して安くはありませんが、故障を未然に防ぎ、高額な修理費を避けるための投資とも言えます。
高級時計こそオーバーホールが必要
「高級時計は作りが精巧だからオーバーホールはいらない」というのは誤解です。どれほど優れたモデルでも潤滑油は劣化し、放置すれば部品の摩耗や精度低下を招きます。
むしろ高級時計だからこそ、長期にわたり美しさと価値を保つために定期的なメンテナンスが不可欠です。オーバーホールを行うことで、性能を取り戻し、次の世代に受け継ぐことも可能になります。
オーバーホールをせずに放置するリスク
「まだ動いているから大丈夫」と考えてオーバーホールを先延ばしにすると、内部では静かに劣化が進んでいきます。潤滑油の乾燥や汚れの蓄積は、精密な部品に負担をかけ、やがて深刻な故障へとつながるでしょう。ここでは、オーバーホールを怠った場合に起こり得るトラブルについて解説します。
部品が壊れる
潤滑油が切れた状態で歯車や軸が動き続けると、金属同士が直接こすれ合い、摩耗が急速に進行します。やがて歯車の歯が欠けたり、軸が折れたりして、時計が完全に止まってしまうこともあります。
修理費用がかさむ
部品が破損すると、通常の分解洗浄では済まず、部品交換を伴う高額な修理が必要になります。特にブランド独自のパーツや生産終了モデルの部品は入手が難しく、修理費用がオーバーホール代の何倍にも膨らむケースも少なくありません。
10年・20年放置すると起こること
10年もオーバーホールをせずに放置すると、潤滑油やパッキンは劣化し、防水性能はほぼ失われます。わずかな湿気や汗でも内部に錆が広がり、ムーブメント全体がダメージを受けるでしょう。
また20年近く放置した場合、部品供給が終了して修理自体ができなくなることもあり、最悪「修理不能」と判断されるケースもあります。
自動巻き時計は特に注意
自動巻き時計は腕の動きでゼンマイを巻き上げる仕組みのため、「ローター」という部品が常に回転しています。この軸受け部分は摩耗や汚れが溜まりやすく、メンテナンスを怠ると異音や巻き上げ不良の原因になります。
リューズを回してもゼンマイが巻けなかったり、針がスムーズに動かなかったりする場合は注意が必要です。そのまま放置すると部品交換を伴う大掛かりな修理につながります。
オーバーホールのメリット
「まだ普通に動いているのに、わざわざ分解清掃するのはもったいない」と感じる方も多いでしょう。しかし、時計のオーバーホールには費用以上に大きなメリットがあります。ここでは代表的な3つを紹介します。
寿命を延ばして長く愛用できる
クォーツ時計はおよそ10年ほどの寿命とされますが、機械式時計は定期的にオーバーホールを行えば、半世紀以上使い続けることも可能です。潤滑油を入れ替え、摩耗を抑えることで内部パーツを健全な状態に保てるからです。
また、防水パッキンの交換により、サビや腐食といったダメージも防げます。メーカーが部品を供給している間は修理が可能なため、メンテナンス次第で一生ものとして使い続けられるのです。
精度が改善されて安心して使える
時計の精度低下の原因は、油切れや摩耗、さらには帯磁などさまざまです。オーバーホールでは分解清掃や注油のほか、磁気抜き処理や緩急針の調整といった精度改善作業が行われます。
クォーツ式なら電池交換も含まれるため、電圧低下による誤差も防げます。結果として、購入当時に近い正確さを取り戻し、日常的に安心して使い続けられるようになります。
高額な故障を未然に防げる
潤滑油が劣化したまま使用を続けると、歯車やリューズに負担がかかり、部品が折れたり摩耗したりします。いざ修理となると、部品代や工賃がかさみ、オーバーホール費用を大きく上回るケースも珍しくありません。
その点、定期的にオーバーホールを行っておけば、摩耗の進行を食い止め、小さな不具合の段階で修理できるため、結果的に大きな出費を避けられます。
オーバーホールの注意点
時計を長く使ううえでオーバーホールは欠かせませんが、メリットばかりではなく注意すべき点もあります。
定期的に費用がかかる
オーバーホールは一度きりではなく、機械式なら3〜5年ごと、クォーツ式でも5〜7年ごとに行うのが理想です。1回につき数万円から10万円以上かかるため、維持費としては決して安くありません。
長期的に愛用するなら「購入後も定期的な費用が発生する」という前提で計画を立てておく必要があります。
依頼先の業者によって仕上がりが変わる
同じオーバーホールでも、依頼する業者によって技術力や使用する部品の品質には差があります。正規サービスに依頼すれば精度や防水性能を新品同様に戻せますが、費用は高くなります。
非正規業者では費用を抑えられる場合もありますが、経験の浅い技術者や非純正パーツが使われることもあり、仕上がりに不安が残るでしょう。そのため依頼先を選ぶ際は、料金だけでなく実績や保証内容まで確認することが重要です。
オーバーホールが必要なタイミングはいつ?
オーバーホールは不具合が出る前に定期的に行うのが理想です。機械式時計とクォーツ時計に分けて、オーバーホールが必要なタイミングを紹介します。
機械式時計の目安は3〜5年ごと
内部の潤滑油は時間とともに劣化します。特に毎日使っている時計、古いモデル、湿度の高い環境で使う時計は3年〜5年ごとのメンテナンスがおすすめです。定期的に行うことで精度と防水性能を維持できます。
クォーツ時計の目安は5〜7年ごと
クォーツ式は構造がシンプルで油切れも起こりにくいため、5〜7年ごとで十分です。ただし20年以上経過した古いモデルや、電池切れのまま長期間放置した場合は劣化が早まります。オーバーホールとあわせて電池交換を行っておくと安心です。
こんな症状が出たらオーバーホールを検討しよう
定期的なサイクルに関係なく、時計に次のような症状が出たらオーバーホールのサインです。3つの症状を紹介するので参考にしてください。
時間が大きくずれるようになった
油切れや磁気帯び、部品の劣化が原因で精度が乱れることがあります。クォーツ時計なら電池切れの場合もあるため、電池交換とあわせてオーバーホールを依頼すると安心です。
機械音が以前より大きくなった
歯車の摩耗や油切れで、普段より「カチカチ」という機械音が大きくなることがあります。自動巻きではローターの不具合も原因にもなります。放置すると破損につながるため、異音を感じたら早めの点検が必要です。
ガラスが曇って見えにくい
内部に水分が入り込むと、風防や裏蓋が曇ることがあります。そのままにするとサビや腐食が進み、修理不能になるケースもあります。オーバーホールで防水部品を交換し、乾燥処理をすることが解決策です。
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