1 オーバーホールとは
1.1 高級時計は定期的なオーバーホールが必要
1.2 オーバーホールとメンテナンスは何が違う?
1.3 機械式の時計でなくともオーバーホールは必要
2 オーバーホールのオススメ頻度
2.1 3年から5年に1回
2.2 オーバーホールの頻度が少なくて済むケース
3 オーバーホールが必要か判断する基準
4 オーバーホールの一般的な流れと所要期間
5 オーバーホールの費用相場
5.1 メーカー正規店の場合
5.2 民間の修理業者の場合
6 オーバーホールにおける注意点
6.1 基礎知識を押さえておく
6.2 オーバーホールの限界を知っておく
6.3 郵送時は汚れを落とす
6.4 不具合の原因が判明している場合は説明する
6.5 研磨の有無を確認する
6.6 見積もりはシビアに判断する
7 オーバーホールをしておかないと買取の査定で不利になる?
8 高級時計の買取ならRiZへ
「高級時計はオーバーホールが必要って聞くけど、いくらくらいかかるの?」
「どれくらいの頻度でオーバーホールが必要なの?」
こちらの記事では、このような疑問をお持ちの方に向けてオーバーホールを詳しく解説します。
オーバーホールが必要かどうかの判断基準、適切な頻度、費用相場や注意点を紹介しますので、参考にして下さい。
オーバーホールとは
改めてオーバーホールとは何なのか、定義を解説します。
高級時計は定期的なオーバーホールが不可欠
オーバーホールとは、高級時計の状態を良質に保つために、専門業者に依頼しておこなう作業のことです。
時計本体をパーツごとに分解して精度を調整したり、注油や洗浄によってパーツを良質な状態にしたり、摩耗したパーツの交換をしたりします。
高級時計の中でも特に機械式の時計は、長期間使用せずにいると状態が悪くなり、最悪の場合は使えなくなることもあります。
そこで、定期的なオーバーホールを施すことで、時計の状態が悪化するのを防ぐのです。
数年単位で高級時計を使用する方には、欠かせない作業と言えます。
オーバーホールとメンテナンスは何が違う?
似た意味の言葉に「メンテナンス」はありますが、広い意味では同じです。具体的な違いは、本体を分解するかしないかくらいの違いと言えます。
そもそもオーバーホールは、時計を出来るだけ新品の状態へと近づけるためにおこなうものです。
パーツをすべて分解し、徹底的に点検・調整をするので、高い技術と専門知識が必要です。
一方でメンテナンスは、時計を正常に動かすために必要な軽作業となります。
本体を分解することはなく、不良箇所の調整や電池交換などの最低限の作業なので、さほど費用がかからず、時間もかかりません。
機械式の時計でなくともオーバーホールは必要
オーバーホールは、必ずしも機械式の時計だけに必要なわけではありません。
クォーツ時計のように電気で動くものも、本体には歯車が使われているので、オーバーホールが必要なことがあります。
時計の歯車は、基本的に稼働部や軸の動きをスムーズにするために、潤滑油が使われています。
そして、油は時計を使い続ける限り徐々に減少していくので、その状態を放置するとやがて故障の原因になるのです。
なお、電子回路が採用されたデジタル式の時計は油を使っていないため、一般的にオーバーホールの必要はありません。
オーバーホールのオススメ頻度
こちらではオーバーホールをおこなう適切な頻度について解説します。
3年から5年に1回
オーバーホールをおこなう頻度は時計メーカーによって異なります。
メーカーごとに時計の構造が違うため、2年を推奨するメーカーもいれば4年を推奨するメーカーもいるのです。
そのため、基本的に各メーカーが推奨している基準に準ずるのが理想と言えるでしょう。
一般的によく言われているのは「3年〜5年」ですが、あくまでも目安でしかありません。
なぜなら、腕時計は人によって使い方や保管方法が異なるので、経年劣化の度合いもまた異なるからです。
時間のズレなど何かしらの異変に気づいたら、推奨期間に関わらず、早めにオーバーホールをすることをオススメします。
オーバーホールの頻度が少なくて済むケース
日常的に時計を使う頻度が少ない方は、オーバーホールの頻度も少なくて済む可能性があります。
頻度が少ないとは、特別な時にしか時計を使用せず、普段は電池を抜いていて内部が作動していないなどの状態です。
ただし、その場合も時計内部の潤滑油は計年劣化しますので、久々に使用して異変を感じる場合はオーバーホールを検討しましょう。
オーバーホールが必要か判断する基準
メーカーが推奨する頻度以外にも、オーバーホールの必要性を判断する基準があります。
以下の項目のうち、該当するものがあればオーバーホールを検討してみて下さい。
・使い方を変えたわけではないのに、最近よく時計が止まる
・最後にメンテナンスをしてから3年以上が経っている
・手巻きを十分にしているにも関わらず、時間が徐々にズレる
・手巻き作業が以前より重たい感じがしたり、引っかかったりする
・手巻きをしてから次の手巻きが必要になるまでの期間が短くなった
オーバーホールの一般的な流れと所要期間
こちらではオーバーホールの一般的な手順を紹介します。
・申し込み
修理店に腕時計を持ち込み、状態を確認してもらいます。
ここでの確認作業はあくまでも簡易的なものであり、時計内部の細かな状態までは確認をしないのが一般的です。なお、店舗に持ち込まずに郵送で対応するケースもあります。
・見積もり
見積もりができるまでは、申し込みから2〜3週間ほどかかるのが通常です。
時間がかかる理由は、パーツの状態を個々に確認し、交換が必要かどうかを判断する必要があるためです。
交換が必要なパーツがあれば、そのパーツの在庫を確認したり、在庫がない場合は調達が可能かを確認したりする必要があります。
・オーバーホールの作業
オーバーホールの作業は通常5週間〜6週間ほどの時間を要し、メーカーによってはそれ以上かかることもあります。
パーツの分解、汚れた油の洗浄、新しい油の注油、パーツの組み直し、計測器による精度の調整など、オーバーホールにはたくさんの工程があるため、時間がかかります。
最後に複数回計測器で異常がないかを確認し、問題がなければ作業は完了です。
オーバーホールの費用相場
オーバーホールの費用はメーカー正規店に依頼するか、民間の修理業者に依頼するかで変わるため、それぞれ紹介します。
メーカー正規店の場合
一般的にメーカー正規店のオーバーホールの費用相場は高めです。
大体5万円〜10万円が相場であり、パーツの交換代は別途かかることが多いです。
また、民間業者よりも費用相場が高いメーカー正規店ですが、メリットもあります。正規店でオーバーホールをすると、1年〜2年のメーカー保証書を受け取れます。
高級時計の場合、その時計が本物である重要な証拠になるので、買取でも有利に働きやすいでしょう。
民間の修理業者の場合
民間の修理業者の費用相場はおよそ2万円〜6万円と、メーカー正規店よりもリーズナブルです。
ただし、費用が安い代わりにデメリットがあります。まず、正規メーカーではないため保証書をもらえません。その後時計の調子が悪くなれば、都度正規の費用がかかります。
また、民間の修理業者の場合、純正のパーツの在庫がないケースがあるので注意が必要です。その場合は代替品のパーツが使われることになるため、時計の価値が下がる可能性があります。
これらのデメリットが気にならない方は、メーカー正規店より民間業者を利用するといいでしょう。
オーバーホールにおける注意点
オーバーホールで思わぬ失敗をしないように、こちらでは6つの注意点を紹介します。
基礎知識を押さえておく
オーバーホールは、時計の構造上定期的に必要な作業です。
正常に動いていたとしても、中身は確実に劣化が進んでいます。潤滑油は乾燥し、内部のギアは摩耗が進行しているのです。
巷では「ロレックスは一生使える」と言われていますが、それはきちんとメンテナンスをしていることが前提です。
定期的なオーバーホールはもちろん、日々の取り扱いや清掃にも配慮する必要があります。
オーバーホールの限界を知っておく
オーバーホールは、内部の清掃や調整だけでなく、外装の傷も直してもらえます。
しかし、消せる傷には限界があり、溝ができるような深い傷の修復はできません。
なぜなら傷を消す作業は研磨によっておこなわれるからです。落とせる傷はあくまでかすり傷程度ですので、覚えておきましょう。
例えば、ロレックスは最初から研磨されることを前提に分厚く造られていますが、研磨を繰り返すと形がいびつになったり、ピンやブレスが抜けやすくなったりします。
このようにオーバーホールにも限界があるので、高級時計は日頃から慎重に扱う必要があります。
郵送時は汚れを落とす
オーバーホールは、店舗に直接持ち込む場合もあれば、郵送で店舗まで届ける場合もあります。そのような場合、きちんと汚れを落とした状態で郵送するようにしましょう。
「どうせオーバーホールで綺麗になるのに清掃する必要ある?」と思われるかもしれませんが、店舗に届くまでの間に劣化が進行してしまう可能性があります。
例えば、汗や海水などの塩分を含んだ状態の場合、店舗に届く数日の間にカビやサビが発生してしまう可能性もゼロではありません。
そういった不足の事態に備えて、発送前には確実に時計の汚れを落としておきましょう。
不具合の原因が判明している場合は説明する
時計の不具合の原因がわかっている時は、事前に修理業者に伝えることをオススメします。
説明せずとも分解する過程で判明しますが、始めから原因がわかっている方が修理士も作業がしやすくなります。
インターネットでの申し込みなど、直接原因を伝えられない時は、簡単なメールでいいので担当者に送っておきましょう。
研磨の有無を確認する
オーバーホールにおいて、研磨作業は最初から工程に含まれている場合と、そうでない場合があります。
特に説明がない場合は工程に含まれている可能性が高いので、研磨が不要の場合は事前に確認を取りましょう。
また、研磨をしたくてもできないケースもあります。過去に何度も研磨をしていて、これ以上研磨をおこなうと本体の強度が落ちてしまう場合などです。
研磨は一度おこなうとやり直しがききませんので、必要性の有無は修理士に確認した上で慎重に判断しましょう。
見積もり額が相場を超えることがある
オーバーホールの費用にはある程度の相場がありますが、実際は内部の状態によって大きく変わります。
そのため、見積もりで出される金額が想定以上に高くなる可能性もゼロではありません。
なお、オーバーホールは見積もり後にキャンセルすることもできますが、分解作業をした費用として数千円ほどのキャンセル料がかかるのが一般的です。
想定以上に費用が高くならないように、日頃からの清掃や保管など、時計を慎重に扱うことが肝要です。
オーバーホールをしておかないと買取の査定で不利になる?
「オーバーホールをしておかないと、買取で不利になるのでは?」と心配される人が少なくありません。
確かに査定で見た目や状態が見られる以上、影響はゼロではないでしょう。しかし、だからと言って必ずしも査定前にオーバーホールが必要とは限りません。
なぜなら、オーバーホールによって増えた金額よりも、オーバーホールの費用の方が上回ってしまう可能性があるからです。
どうしても損をしたくない方は、オーバーホールにかかる費用と、オーバーホールを施した場合の査定金額の両方を事前に調べる必要があります。
ただし、先述のようにオーバーホールの費用は基本的に高額ですので、多くの場合、手元に残る金額はさほど変わりません。
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